イレイスアサシン3話~巡査フィアの苦悩~

ポル巡査の帰宅後もフィアの捜査活動は続く。
彼はかなりこの山が気になるようだ。
ずっと食い入るようにフィアは新聞を見ていた。
深夜3時フィアが深夜に簡易休憩室でコーヒーを飲もうと、
コーヒーメーカーでコーヒーを注いでいたら、
フィアの同僚の女警官レイが簡易休憩室に顔を覗き込みフィアの様子を伺いながらフィアに話しかけた。
「フィア、あなたって本当に仕事バカね。
私と朝食でもどう?あなたと同じ30の三十路の私には興味ないかしら?あなたは恋愛より、仕事優先?少しは休んだら?」
フィアの好きな女性はレイなのだ。
いつもレイはフィアの事を気にかける。
フィアはため息を吐き、ぎごちなくレイに話しかける。
「レイ、困らせないでくれ、朝食はありがとう。後で一緒に行こう。ぼ、僕だって仕事バカになる気は無いさ、それに好きな人だって……。
レイ、君は30でもルックスも顔だって綺麗さ。
ぼ、僕が君をす、好きとかじゃないけどさ……、あ、いや、すまない……」
レイはフィアの事が好きなのだ。
フィアがレイの事を好いている事もバレている。でもレイはフィアの口から「愛してる」というのをずっと待っているのだ。
一途にフィアを想って。
レイはフィアをからかうように話しかける。
「あーあ、フィア、ふふふ、あなたシャイね。もうちょっと素直になったら?私は……。ふふ、何でもないわ。朝食迄にはきてよ?新聞に張り付くのもいいけど、ゆっくり朝食食べなさい。身が持たないわよ。あら、またデスクで寝たの?
新聞読みながら寝たんでしょ。何日家に帰っていないの?キッチンもシャワーもあるけど、家に帰って休めば?私もついて……何でもないわ。」
レイは少し照れながら話をやめたが
フィアはシャイな上に鈍感。
署には帰宅出来ない警官の為に備え付けのシャワールームや、キッチン、トイレはもちろん、大型の食堂もある。
フィアは毎朝レイと朝食を食べている。
食堂でレイと話す癒しの時間だ。
早朝5時、自分のデスクからゆっくりと食堂に向かうフィアをレイはコーヒーを飲みながら席につき、待っていた。
フィアがまたぎごちなく話しかける。
「ご、ごめん、いつもありがとう。お代わりのコーヒーは?僕はパンとコーヒーでいいや、レイ、君こそ帰ってるの?いつも僕を見に来る。
いつか君が言っていたフレンチだっけ?美味しいんだろ?いつか食べに行こうよ。君だって疲れていないかい?」
フィアは婚約指輪を密かにレイに買っていた。
レイに気持ちを告げる時の為に。
いつか「愛してる」と言って、レイと家庭を持ちたいと、レイを愛していた。
レイもフィアの事が気になり、ろくに家に帰っていない。
シャワーも署で毎日浴びている。
レイが薄く笑顔を見せてフィアをからかうように話しかけた。
「フィア、あなたいつも同じものばかり食べてる。私みたいに野菜も食べなさいよ。あなた、自分の身体大切にしなきゃ、事件も何も解決なんて出来ないわよ?……恋愛の方だって。ふふふ、私の行きたいフレンチのお店、気になる?美味しいわよ、署のコーヒーより、ワインやディナーが美味しいの。あなた、いつ一緒に行ってくれるの?楽しみにしてるのに事件に恋してるの?」
ちょっとフィアを冷やかし気味にレイは、フィアの恥ずかしそうな顔を見ながらサラダを食べていた。
フィアはコーヒーを飲みながら、いつかレイの行きたがっている、フレンチを食べに行く時に「愛してる」と告げたいのだった。
婚約指輪もその時に渡すサプライズだ。
フィアはコーヒーを飲みながらやはりぎこちなくレイに話しかけた。
「じ、事件に恋するなんて、僕はそんなつまらない人間じゃないさ、いつか行こうよ、フレンチ。ワインもディナーも楽しみにしているよ。レイ、今日もいい香りだね。署のシャンプー発注してるの君だろ?いつも署でシャワーを浴びているよね?何かいい香水でもつけていると思ったら、こないだシャワー浴びた時に君と同じ香りのシャンプーだったよ。」
この署は女性警官の為に、シャワールームに置く、シャンプーや、ボディソープ等、発注をかければ常備するシステムなのだ。レイはシャワーのシャンプーや、ボディソープを発注して、全ての女性警官達が好きそうな香りのモノを発注していたのだ。
それをフィアも2日に1度のシャワーで使っていた。
レイはニッコリ笑いながら、ずっとフィアの話を聞いていた。
レイはずっと待っているのだ。
フィアが「愛してる」と言うのを。
フィアが想いを伝える事を。
その為にフレンチも下調べしていた。
レイはフィアを愛おしく想い、フィアの事をずっと見捨てずに待っているのだった。
早朝6時。ポルがくるのが朝の7時だから、ポルは、フィアとレイが相思相愛なのも知らないのだ。
フィアはデスクに戻り、早朝6時半、簡易休憩室でコーヒー淹れてコーヒーを飲みながら、ポルを待っていた。
フィアは自分の親のようにポルの事を考えていた。
いつかレイと一緒になる時はポルを驚かせようとフィアは考えていたのだ。
ポルが署にくる7時、マスタングでポルはいつもやってくる。
ポルは署の駐車場に車を停めると、老体を動かし、署の中に入って行った。
フィアとレイの事も知らないポルはフィアの事が気がかりだった。
ゆっくりとフィアのところに向かう。
朝7時、ポルの隣にフィアのデスクがある。
ゆっくりと歩いて、老体を動かしながら、フィアの横のデスクに座り、決まって、フィアにこう言うのだ。
「おはようフィア。ちゃんと寝たのか?少しは家に帰れ。身体を崩すぞ。」
フィアは、疲れた顔でポルの朝のこの一言を毎日聞いている。
耳にタコができるくらいに。
だが、フィアは分かっていた。ポルの思いやりを。それが嬉しかった。
フィアはポルに笑いながら話しかけた
「ポル巡査おはようございます。お孫さんとはどうです?この山がひと段落したら、あなたのお孫さんに会いに行きますよ、コーヒーはご自分で。」
ポルは老体を起こし、コーヒーを淹れに行く時に、いつもフィアに隠れて、朝のフィアの挨拶を楽しみにしていたのだ。
フィアのレイへの告白はいつになるのだろうか。
フィアは謎の多い殺人鬼の新聞記事を読みながら、事件の捜査に必死だった。
イレイスの存在など分かる事などないのに。

フィアの苦悩は続くのだった。




あとがき

かなりの危険人物の回の後にラブストーリーという展開でしたが、これは大丈夫なのかな笑
フィアはかなり鈍感ですが、一途な設定です☺️

まだまだ続きますが何卒よろしくお願いしますm(__)m
読んで下さった方ありがとうございます✨

ジローの感謝。

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