雨の中の少女1話
何の変哲もない雨の日
まだ携帯や、ましてやSNSなんて普及していない
1990年代初頭
都会から離れた商店街では
子どもたちが走り回り
気前のいい大将のいる八百屋をはじめ色んな商店が立ち並ぶ。
ガレージの閉まったもう閉店してしまった店もあれば、年老いた老父が営む喫茶店
子どもたちが遊ぶゲーム機の並んだゲームセンター
犬を散歩させる親子や
学校帰りの男子達
その中で仕事も中途半端で
恋人もいない
親など
とうの昔に亡くなってしまった「和樹」という男性が傘をさして商店街を肩を落として歩いていた。
何も家のアパートにはない。
あるとしたら汚れた食器の山に
止められたテレビ
何回も聴いて伸びきったカセットテープ
電子レンジで温めるだけの冷凍食品
冷蔵庫の野菜室にはいつのものかわからないペットボトル
アパートの一室には小さな布団が敷いてあり
かび臭い布団だった。
寒さを凌ぐ為に3年前に買ったニットをまだ着ている。
寒い冬の雨の時期に
和樹はため息を吐いて
傘をさしてタバコを買って帰るつもりだった。
走り回る子どもがうるさくも感じた。
商店街の店のガレージの閉まっている片隅に
高校生?
最近の学生は全くわからない和樹が
近づいて行くと
雨でずぶ濡れの少女がいた。
誰を待っているでも無く
悲しげに雨にあたっていた。
和樹が近づいた
この日はじめて発する言葉だった。
「君、風邪引くよ。」
すると彼女は和樹が差し出していた傘に
すっと入っていった。
和樹とは触れないように。
少女は何があったんだろうか
泣いていた。
少女にまた和樹が声をかけた
「傘、あげるよ、あはは……ズタボロな傘だけど。」
少女は和樹を見てこう言った
「私、傘嫌いなの。」
すると少女は涙が止まらずその場で立ち尽くしていた。
和樹はどうしたらいいかわからなかった。
少女を家に連れて行くわけにもいかない。
ましてやゴミだめみたいな一室に
少女を連れて行ってもどうにもならないし
きっと家族がいるだろうと。
和樹は小銭を出した。
近くに公衆電話があったからだ。
少女に和樹は話した。
「君、親御さんは?そんなに濡れて、心配するよ。早く帰った方が……」
少女は泣きながら和樹を睨み叫んだ
「私の家族は死んだの!もう誰もいない!
私は、雨に濡れても心配する家族もいないわ!
ほっといてよ!帰って!」
和樹は呆然とした。
まだ高校生くらいの女の子が家族が亡くなっている。
和樹の暮らしぶりより酷いかも知れない。
この少女を警察に届けた方がいいだろうか
和樹はため息を吐いて少女の肩を持ち
少女にこう言った
「俺の家にこない?何もないし、汚いけどもね
ここよりゃマシじゃないかな……あはは……」
少女は泣きながら和樹に
「な、なんでよ……私は……!」
少女は雨にあたりすぎたせいか和樹を叫び倒そうとしていたが
倒れ込んだ
和樹が少女の元へしゃがみこみ少女のデコを触ると酷い熱だ
和樹は医者に行くお金等ある訳も無かった。
仕方なく和樹はアパートに連れて行く事にした。
近くにタクシーが偶然止まっていた。
商店街から和樹のアパートはワンメーター。
タクシーの運転手は嫌がる距離だ。
だが和樹は少女を抱えて
運転手に道をいい
大変な状態だと言った
タクシーの運転手は仕方なく
和樹達を乗せた。
しばらくタクシーが走ると和樹のアパートが見えた
タクシーの運転手に料金を支払い
運転手に舌打ちされたが
今はそんな事はどうだっていい
和樹はアパートからすぐに自分の部屋に行き
扉を開けた。
自分の着ていたニットを少女に被せ
「かび臭いけど我慢してくれよ……」
と、毛布と布団を少女に部屋に着いたら
かけて寝かせた。
ヤカンがあったからお湯を沸かした。
タオルはまだ大丈夫なラインのようだ。
風呂も無ければトイレ共同のアパート。
和樹は銭湯に持って行っていたオケに
お湯を溜めた。
タオルをお湯で濡らして
少女のデコに当てた。
「助かれよ……頼む……」
和樹が何もないような状態の部屋で少女を看病していた。
夜が明ける迄ずっと少女は寝込んだままだった。
早朝5時、和樹が少女のデコを触ると熱は下がっていた。
寝息を立てて少女は寝ていた。
和樹は「良かった……何とか持ちこたえたか……」
と言ってため息をついた。
少女は寝息をたてねている。
和樹は何とか少女を助けたようだった。
寝息をたてて何時間も少女は寝ていた。
続く。
あとがき
読んで下さった方ありがとうございます✨
まだまだな小説ですが、この小説をいつかもっと進化させて、未来に待っている、相方を気長に待って、僕は力をつけて、良い原作者になります☺️
僕の「雨の中の少女」を気に入って下さった、大切な相方です。
ずっとお待ちしております✨
見てくださった方ありがとうございます✨
3話迄続きます☺️
ありがとうを込めまして……
感謝です✨
ジローより✨
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